アーユルヴェーダの概念は、以下のインドの六派哲学[1]が基本となっています。この六派哲学から生命や医学に関する知識を抽出し、体系化したものがアーユルヴェーダといわれています。ヨーガとアーユルヴェーダは密接に関係しあいながら、5000年の歴史の中で受け継がれてきました。
近年、アーユルヴェーダは日本において「オイルマッサージ」や「リラクゼーション」のサービスとして美容業界で普及してきました。しかし本来、アーユルヴェーダは世界3大医学の一つであり、インド・スリランカで生まれた約5000年以上の歴史を持つ世界最古の伝統医学です。
[1] 六派哲学(ろっぱてつがく)ヴェーダーンタ学派・ミーマーンサー学派・ヨーガ学派・サーンキヤ学派・ニヤーヤ学派・ヴァイシェーシカ学派
アーユルヴェーダでは三つのドーシャという概念が基本にあります。
ドーシャとはあらゆる生物における肉体のエネルギーと精神的エネルギーの両方を含む生体エネルギーです。
三つのドーシャはそれぞれヴァータ(風・空)・ピッタ(火)・カパ(地・水)と呼ばれており、人体ではたいていどれかのドーシャが優勢かによって体質や気質が決まると考えられています。
アーユルヴェーダはすべてのものはバランスの上で働いており、そのバランスが崩れることで病気が起こってきます。
ヴァータ・エネルギーは「風」と「空」から構成されています。
神経系統に対応しています。呼吸と排泄をつかさどり、特質は乾燥、軽い、粗い、早い動きです。
ヴァータ体質の人の傾向は、体重が軽く、脆弱で、風で飛ばされそうな体格で、創造的ですが、心が変わりやすいです。
ヴァータが過剰になると、脱水、老化現象、乾燥肌その他皮膚のトラブルや傷が治りが遅くなります。
ヴァータが不足すると、重く鈍い感覚がでて、循環が悪くなります。
ピッタ・エネルギーは「火」と「水」からできています。
体内の熱の発生と保持、消化、代謝、知性をつかさどっています。
ピッタ体質の人の傾向は、代謝力が強く、食欲旺盛です。汗をよくかき、体は温かい。
ピッタが不調和になると、消化力の低下、体温の変動、過度の汗かき、視力の低下、吹き出物やその他の肌のトラブル、胸やけ、消化不良、過敏性大腸や下痢、心配やいらいらが起こります。
カパ・エネルギーは「水」と「土」からできています。
体内の水の機能をつかさどり、体力と構造を調整しています。関節を滑らかに保ち、免疫システムを維持しています。
カパ体質の人の傾向は、太りやすく痩せにくいため、肥満になることが多い。よく眠ります。
カパが不調和になると、栄養不足で逆に痩せ、関節がゆるみ、消化が遅くなります。
[参考文献] 「アーユルヴェーダハンドブック」シャンタ・ゴーダガマヤ著 日経BP社